私たちが住んでいる日本は、1980年代に入ってから子供が少なく、高齢者が
多くなるという少子高齢化によって1994年(平成6年)には、老年人口が14%を
超えて高齢化社会に入ったといわれています。

65歳以上の高齢者人口(平成21年9月推計)は、総人口に占める割合は
22.7%です。

そうした状況で、核家族化が進み、ひとり暮らしの独居のおじいちゃんや
おばあちゃんが多くなり、その中で認知症や寝たきりの高齢者が増えてきて
います。
また、障がい者が地域において自立した生活を送っています。
高齢者や障がい者に対する財産侵害、訪問販売などによる消費者被害、高齢や
障がいを理由としての差別など、様々な権利侵害の事例を見聞きすることが多く
なりました。

高齢に伴う、また、精神上の障がい(知的障がい、精神障がいなど)によって判断能力が
不十分であるために、契約といった法律行為をともなう場合、不動産や預貯金など
の財産管理で不利益を被らないよう家庭裁判所に申し立てをして、その方を援助
してくれる人を付けてもらう制度が成年後見制度です。
制度を利用する本人に代わって契約といった法律行為を行うのですが、身のまわり
の世話をする身体介護などの行為は行いません。

平成12年(2000年)4月、民法などの改正を含む成年後見制度関連四法によって
新しい成年後見制度が開始されました。
従来の制度には、問題点が多く、利用が低調でした。

平成12年(2000年)4月というと、介護保険制度が開始された時期でもあります。
当時、システムエンジニアだった私は介護保険制度における、審査会のための準備と
会の運営をサポートするコンピュータシステム開発プロジェクトに参画しており、開発が
一段落して本番運用が無事に終わることを願っていた時期でした。
成年後見制度を知ったのは、行政書士試験の勉強をはじめてからです。

成年後見制度には、(1)判断能力が不十分な人から判断能力が欠けている人のため
の「法定後見制度」、(2)現時点で判断能力はあるけど、将来、判断能力が衰えたとき
に、どのような生活をしたいのか、どう財産を管理して欲しいのか信頼できる人と事前に
公正証書で契約を結び、判断能力が衰えたときには家庭裁判所に申し立てて契約の
効力を発生させる「任意後見制度」の2つがあります。

ご自身の判断能力が、または、父親や母親の判断能力で何かおかしい、ちょっと衰えたかな
と感じた場合、成年後見制度があることを思い出してください。
成年後見制度については、また、投稿する予定です。