7月12日に大東市の諸福老人福祉センターにて、
セミナーを開催させていただきました。
セミナーのテーマは昨年度同じ「成年後見制度と相続・遺言」ですが、
今年は、遺言書を中心とした内容にしました。
セミナーには60歳以上の大東市市民の方を募集していますので、
受講者は高齢の方になります。
セミナーのテーマは「成年後見制度と相続・遺言」ということから、
遺言書を成年後見の関わりについても説明しました。
そこで、
「いつ、遺言を書くのがよいでしょうか?」の質問には、
「遺言を書くには、心身の状態が良いときに書くのが良い。」と
いうのが回答になるでしょう。
認知症の症状によっては、
判断能力が落ちた・・・認知症の症状が出た・・・自分の意志でなく、
身内に書かされた疑いを持たれた遺言となり、
「遺言能力に疑いあり」となってトラブルの基になります。
遺言の呈をなすには遺言できるの能力(事理を弁識する能力)が
必要です。
常時、全く判断能力がない状態になってしまった方については、
遺言することはできません。
もちろんですが、成年後見人が本人を代理して遺言を書くこともできません。
しかし、
アルツハイマーなどの認知症等が原因で成年被後見人となっている方で
あっても症状は様々ですから、常に全く判断能力がないということは
ありません。
一時的に調子が良く判断能力が正常に回復することもありえます。
この場合には、成年被後見人であっても遺言をなすことは可能です。
(民法973条に記載)
この場合、医師2名以上の立ち合いが必要となりまして、
医師が事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に
付記する必要があります。
被保佐人や被補助人にはこのような手続上の要件はありません。
セミナー受講者へ「いつ、遺言を書くのがよいでしょうか?」には、
「今でしょう。」か、
「心身の状態が良いときに書くのがよいです。」という回答がふさわしいと
思い説明しました。