少人数私募債発行のメリットには、以下のような点があります。
① 担保が不要である
少人数私募債発行で重要といえるのは、引受人との信頼関係です。
少人数私募債の引受人の多くは、日頃から発行企業のことを良く理解している
縁のある人たちであり、彼らとの信頼関係があれば担保がなくとも引受けてもらう
ことができます。
銀行借入では担保が必要になる場合が多いことを考えると、大きなメリットと言えます。
② 償還期間や利率を自由に設定できる
少人数私募債の発行には取引銀行などの金融機関は基本的に関与しません。
そのため、償還期間や利率についても発行会社で決定することになります。
ただし、引受人にとっての少人数私募債の魅力を考慮して、利率については銀行の預金
利率よりも高めに設定するのが多いです。
③ 銀行などが設定した資格要件を満たす必要がない
金融機関などが基本的に関与しない少人数私募債では、保証付私募債とは異なり、
銀行への手続きが必要なくて、審査が通らないということはありません。
金融機関の融資の場合には、純資産額や自己資本比率、事業状況、市場の状態など
審査があるため、資金調達が簡単でないということがあります。
④ 社債一般のメリット
増資と違って社債権者には議決権がないこと、銀行借入と違って社債は通常は満期一括
償還のため、期間中の資金繰りに余裕が生まれるといったメリットがあります。
⑤経営の意識向上
少人数私募債を引き受けてもらう際、引受人に対して自社の経営状況や市場での立ち位置
など事業計画書を作成して公表するという情報開示が必要となります。
少人数私募債を引き受けてくれた縁のある人達を裏切ることは出来ないという意識から、経営
意識が高まる効果が出てきます。
少人数私募債には以上のようなメリットがあります。
期日に約束通り償還するための償還原資を確保しておく必要がある点は留意しておくべきでしょう。