身内の方が亡くなったとき、相続が開始します。

民法 第八百八十二条  相続は、死亡によって開始する。

相続が開始すると、相続人の調査や相続財産の評価、遺産分割による名義
変更、相続税の納税などの手続きが発生します。

相続手続きの初期段階で、苦労するのが戸籍の取り寄せです。
ご自身で相続手続きをされる方が、たまにいらっしゃいます。
そこで、戸籍を取り寄せで困っている方からの問い合わせもあります。

とあるご夫婦で、旦那さんがお亡くなりになりました。
当面の生活費のために、被相続人名義の銀行口座からお金をおろしたり、証券
会社に預託している株式といった有価証券を売却しようと金融機関の窓口に行ったところ、
担当者から「戸籍がいる」といわれました。

そこで、奥さんが地元の市役所に出向き戸籍を取り寄せて、再度、金融機関に
出向いたところ、「戸籍が足りないです。亡くなった方の出生までの戸籍と
相続人である子の戸籍が必要です。」と先日とは違う担当者から説明を受けま
した。

担当者が言うには(1)取ってきた戸籍は戸籍謄本とコンピュータ化する前の
改製原戸籍が一通だけで、(2)被相続人(夫)の出生までの戸籍を取り寄せ
て欲しい、(3)相続人である子の戸籍を取り寄せて欲しいと言うことでした。

「初めに金融機関の窓口に行った際、「戸籍がいる」とだけ言われただけで、
被相続人の出生までの戸籍と相続人である子の戸籍を取り寄せが必要なんて
聞いていない。こんな事、初めて聞いた。」と、奥さんは担当者に怒鳴ること
となりました。

相続手続きに慣れていない方が、相続手続きを一人で行うには大変です。
老いてからの役所と金融機関巡りは、時間と労力、交通費がかかります。
老老介護の状態で介護を受けている方がお亡くなりになり、お一人で相続手続き
をしようとすると体力的に辛いようです。

相続が発生して戸籍を取り寄せるには、先ず、被相続人の本籍地で戸籍謄本を
取り寄せます。
この戸籍謄本を基にして、1つ前の戸籍を取り寄せます。
これを出生まで遡って取り寄せるのですが、近隣の市町村役場であれば車など
で簡単に移動できるのですが、遠方となると郵送で取り寄せることになります。

戸籍の取り寄せは、本籍地に出向いたり、郵送で取り寄せるなど手間がかかります。
また、1つ前の戸籍を取り寄せるため、本籍地がどこなのか戸籍を読み取ること
が必要となります。
戸籍の見方が分からないと、市町村合併で請求する役所が分からない、婚姻
により転籍先が分からない、分家したことを見落とすなど苦労することに
なります。

戸籍の取り寄せをお急ぎであれば、専門家に依頼することも検討して下さい。